自動車保険というのは、事故や災害による損失に備えて、加入する保険であるということです。ただ、車を事業用として利用するか、私用として利用するかによっては経費になったりならなかったりするため要注意です。ここでは、事業用として話を展開します。
対象 | 保険契約 | 保険料の取扱 | |
保険契約者 | 被保険者 | ||
自社所有の対象物 | 会社 | 会社 | 保険料として損金算入 |
賃借対象物の損害保険料 | 会社 | 所有者 | 保険料として損金算入 |
所有者 | 所有者 | 賃借料として損金算入 | |
役員叉は使用人が所有する対象物の損害保険料 | 会社 | 役員叉は使用人 | 経済的利益がないケースでは福利厚生費等 |
役員叉は使用人 | 役員叉は使用人 | 給与 |
なんだかんだ、自動車を持つと年間を通じてかなりの費用がかかってきます。「本当に車は金食い虫!」と嘆くのも頷けます。しかし、車を持つということはそれなりの覚悟をすると思います。ここで、一呼吸おいて冷静に考えてみましょう。法人、叉は個人事業主で事業用として車を持つと税金面でいろいろな対策が講じられる可能性を持っています。
事業用であれば、車に費やす諸々の維持費は経費扱いになります!
諸々の維持費とは以下ののような費目があります。
✦車検に関する費用及び車検時の手数料(印紙・証紙)
✦運行に必要なガソリン代、有料道路料金、オイル交換代金、タイヤ交換
✦車に関係する消耗品代金
✦駐車場代及び社用外出の際の駐車場代金
✦車に関する自動車保険料
✦車に関する租税公課(自動車税、自動車重量税、自動車取得税)
仕訳の仕方はそれぞれの考え方で問題はありませんが、首尾一貫性を保持することが肝要です。車関係の費用が少額であれば、一般的には車両費としてまとめて仕訳することが多いようですが、車の台数によっては費用が多額になることも考えられますので、この場合は細分化した費目で仕訳する方が管理面及び税務面からも良いといえます。
自動車保険支払タイミングと経費計上との関係
ポイント1)自動車保険契約が1年以内、かつ保険料支払日から1年以内に補償サービス等が受けられるケース(つまり、支払日から1年以内に契約期間が終了する)であれば、短期前払費用の特例ということで認められています。それ故、損金扱いが可能です。この仕訳においても、首尾一貫性を保持することが肝要です。これが短期前払費用の特例といわれているものです。
ポイント2)自動車保険期間が1年を超える場合は、契約期間に応じた形態で前払費用として損金扱いに計上することになります。万が一、契約期間前に保険料を支払った場合は、前払費用扱いにはできません。この場合は、一旦「前払費用」として資産計上します。翌期の期首で損害保険料の勘定科目に振替を行って損金扱いに振り替えます。
現在では、自動車保険業界においてはキャッシュレス化の普及度が増してきており、仕訳処理が非常に簡易になってきているようです。すなわち、短期前払費用の特例が一般化しているのが現状であろう。
首尾一貫性を保持した実務を行うことが肝要です!
よくある悪い例として、旅費交通費との混乱です。例えば、ある決算時期はガソリン代を車両費したり、ある決算時期ではガソリン代を旅費交通費として計上する例がときたま見受けられますが、これは絶対に避けるべきです。タイヤ交換でもよく混乱するケースがあります。車両修繕費として一貫性を保持すればいいものを、ある時期では減価償却にする意見に押されて止むを得ずに減価償却として計上した法人が、税務署から指摘を受けた例がありますので、注意することが肝要です。継続性を常に念頭において実務にあたるべきです。
コメントを残す